馬場 生さん

馬場 生さん

「全く知らない土地でチャレンジしてみたかった」と、移住の経緯を語る馬場さん。東京ビッグサイトで開催されていた移住フェアに参加して一念発起。興味のあった林業と木工の両方に関われる仕事を求めてみどり市へ。山と渓谷に囲まれた田舎暮らしをスタートさせた。

馬場 生さん

東京都→みどり市(2017年移住) 馬場 生さん

profile

宮城県出身。移住前は都内の半導体メーカーに勤務。現在、みどり市の地域おこし協力隊として木工施設「わらべ工房」で働く傍ら、自らも起業したり林業ボランティアに参加するなど積極的に活動。

午後9時。アイデアを練り、ものづくりに没頭する。

現在、みどり市の地域おこし協力隊に着任して、2年目になりました。最長3年間継続できますが、その後どのような仕事をしていくか明確にする必要があります。わたしの場合、起業を考え、その準備を進めているところです。

勤務先のひとつ「わらべ工房」でみどり市での暮らしについて伺った。

どのような仕事内容なんですか?

パソコン上でデザイン・設計したものを、レーザー加工機を使って木材に熱転写し、看板などを作ったりしています。早速、片品村で地域おこしをしている仲間から、カフェの看板を作ってほしいと言われています。

商売道具であるレーザー加工機はネットでパーツを購入し、自作したという。

移住前から、そのような仕事を考えていたのですか?

林業や木工の両方をしたくて、みどり市の地域おこし協力隊に応募しましたが、実際にやりたいことが具体的になったのは、移住してきてからです。1年目は、木工所でフォークリフトを操作して、木材を運んだりするような仕事をしていました。2年目になった今は、わらべ工房を中心に活動しており、商品企画から加工まで自ら行っていますよ。ちなみに林業についてはボランティアで山に入っています。チェーンソーを使って、玉切りといわれる倒れた木を伐採する作業をやらせてもらっています。

工房ではどのようなものを製作しましたか?

卓上丸鋸や、万能木工機、糸鋸など、工房にある製材機や道具を使って、竹琴やケヤキの芯材を材料にした組木パズルを作り、実際に販売もしています。現在は、ウッドスピーカーも試作中です。機械を扱うのは初心者でしたが、工房の先輩方が皆さん、丁寧に教えてくださって、一通りできるようになりましたね。

子どもの玩具をはじめ、多数の木工製品が並ぶわらべ工房。

新商品開発に当たって意見を交わす。談笑しながら和やかにすすむ。

日々の作業の中で、起業のアイデアが生まれたのでしょうか。

そうですね。木材をレーザー加工するには、最初にパソコン上で設計しなければなりません。自分はそういった分野に明るかったので、その知識を活かしてできたのも大きかったですね。

今後どのような展開を考えていますか?

自宅として借りている一角を事務所として使えるよう、簡単にリノベーションしました。居住スペースは自分ひとりで住むには広すぎるくらい広いので(笑)、使っていない部屋もたくさん。2階部分をゲストハウスとして活用できたらいいなと思っています。そしてゆくゆくは、市民開放型の“ファブラボ”を目指していきたいな、と。

好みのインテリアで整えた仕事場。趣味のギターも気分転換になる。

かつて大家族が住んでいた住居なので部屋数が多く、一人で住むには広すぎるくらい広いそう。

ファブラボについて教えてください。

簡単に言うと、多彩な工作機械を使って自由にものづくりができる市民開放型の工房のことです。世界各国にあって、日本でも2011年頃から都市部を中心に拠点が増えているんですよ。まだ群馬にはないので、今住んでいるところを活用してやってみたいと考えているんです。

みどり市東町は山々に囲まれているので、ものづくりに集中できそうですね!

そうなんです。都市部に住んでいる若い人たちが、夏休みに約1か月山に籠もってものづくりに集中すれば、いい気分転換になるんじゃないでしょうか。それから、この地域ならではの課題を解決できるような仕事もしてみたいですね。

それはどのような課題ですか?

ここは山間部なので獣害対策ですね。大学から院までの6年間、電気電子工学を専門的に学んでおり、さらにその後の半導体エンジニアとしての経験を活かして、より有効的な獣害対策機器を開発してみたいと思っているんです。

眼下には清流が。あたりを散策するだけで気分爽快になりそうなロケーションだ。

アイデアが尽きないんですね。そもそも地域おこし協力隊に応募するきっかけは何だったのでしょうか?

地域おこし協力隊に着任する前は、都内の半導体メーカーに勤務していました。そこで半導体機能ブロックの設計などに携わっていましたが、30代中盤を過ぎると、指示や管理が業務のほとんどを占めるように。自分はものづくりが根っから好きだったので、「違う生き方がしたい」と考えるようになりましたね。

そこから「移住」までにはどんな段階を踏みましたか?

有機農業や地方移住に関する講演会に参加したり、本を読んだり、地方移住をすすめる知人から話を聞いたり。直接のきっかけは、東京ビッグサイトで開催されていた移住フェアに足を運んだことでした。

ものづくりを軸に、思考がどんどん広がり、やりたいことが尽きないのだそう。

馬場さんのご出身は宮城県ということですが、Uターン移住は考えなかったのですか?

はい、せっかくなら知らない土地でチャレンジしてみたかったんです。そして興味あることを仕事にしたかった。仕事は、人生の半分をかけるみたいなものですから、やりがいは重要でしたね。

現在、快適に暮らしていますか?

はい、周りは山に囲まれているし、ご近所さんはおばあちゃん一人(笑)。趣味のギターを夜に気ままにひくことができるし、自由でいいですね。

広い敷地なので草刈りも一苦労だと話すが、その顔は充実感に満ちている。

最後に移住希望者へメッセージをお願いします。

今の時代、一つのことだけで食べていくのは難しい。アンテナをたて、やりたいことをたくさん見つけ、手広くやるのもありだと思いますよ。

地域のつながりについて

地域のイベント等に積極的に関わりをもつようにしている馬場さん。現在の住まいも自分で作った人脈からの紹介。「ちょうど空き家になるから」と好条件で貸してもらえたという。

病院について

奥まった山間部の馬場さんの住まいから町中の病院までかなりの距離がある。以前、山での作業中に足を滑らせ肩を大怪我をし、バス通院を余儀なくされた時のみ大変だと感じたそう。