県内で最も小さな村ながら人口の約2割をIターン移住者が占める上野村。奥さんの実家のあるこの村を訪れ、美しい村の風景に強く心ひかれたという湯澤さん。今の暮らしに大満足という湯澤さんに、移住者をひきつける村の魅力をうかがった。

埼玉県→上野村(2013年移住) 湯澤 誠さん・昌子さん・瑞紀ちゃん・ひのちゃん

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埼玉県久喜市から昌子さんの実家のある上野村に移住。昌子さんの実家近くに庭付き一戸建てを新築し、共働きしながら小学1年生の瑞紀ちゃんと保育園に通うひのちゃん(2歳)の二人の子育てに奮闘中。

午後6時。妻の実家まで、子どもたちのお迎えに。

誠さん|共働きなので、子どもたちは小学校や保育園から、まず妻の実家に帰ってきて、夕方まで預ってもらっています。地域の人もみんな顔見知りで、子どもたちを気にかけて声をかけてくれたり、時にはおやつをくれたり……。こんなに温かい人間関係は、都会では考えられないことです。

ずっとあこがれていた田舎暮らし。上野村に来て「ここだ!」と思ったという誠さん。

近くに住む昌子さんの両親が子育てを助けてくれるので、安心して共働きできる。

上野村に移住しようと思ったわけは?

誠さん|僕は20代初めから漠然と田舎暮らしにあこがれていたんです。30歳になるまでには実現したいと、田舎暮らしの雑誌を読んだりネットで情報を集めたりして。岩手で酪農もいいなぁ……、とか(笑)。
縁あって妻と知り合い、結婚のあいさつのとき、初めて上野村に来てびっくり。群馬にこんな秘境みたいな村があるんだと。まるで映画のセットから抜け出たような山や谷や集落の風景に感動して、こんなところで暮らしたい!と強く思いました。
でも、最初は妻が反対したので、実現するまでにそれから4年もかかりましたが……。

奥様はなぜ反対だったのですか?

昌子さん|初めは冗談だと思ったんです。せっかく田舎を出て、便利な都会で暮らしているのに、なぜわざわざ、また不便なところへ戻らなきゃいけないのかと(笑)。
でも、共働きしていたので、上の娘が生まれてからは、親の近くに住めば子育ても楽になるかなと思い始めました。それと、いずれ庭付きの一戸建てに住みたいという夢があって、埼玉では土地が高いし、こちらの方に建てる方が現実的かな、とも。

初めは移住に猛反対していたという昌子さんだが、今は子どもの頃に感じていた田舎暮らしの不便さを全く感じないという。

移住するまでの4年間は?

誠さん|結婚して4年間は久喜市で暮らしながら、足繁く上野村に通いました。僕はこの村に住む気満々だったので、集落を見て歩いたり、村の人の話を聞いたり。
仕事は、福祉施設で働いていた関係でケアマネジャーの資格を取っていたので、村の社会福祉協議会から声をかけてもらいました。

実際に住んでみていかがですか?

誠さん|僕は夢がかなって大満足。初めの2年間は村営住宅で暮らしました。家庭菜園付きの3DK、車も2台置けて住み心地は良かったですよ。ペレットストーブが付いていて、しかも燃料のペレットは村に工場があるので格安なんです。
水道代がすごく安いのにもびっくりしました。村営住宅では使い放題で年7,000円。久喜市は2か月で1万円は超えていましたから。インターネットも月500円だし、生活に必要なお金は都会とは格段の差です。
山村だから閉鎖的かなと思っていたけれど、全然違っていました。きのこセンターとか観光の関係とか雇用の場も用意されているので若い移住者も多く、山間部の中では比較的高齢化率が低いと思いますよ。

昌子さん|村が移住者のサポートに力を入れていて、受け入れ態勢が万全だなと思いましたね。村営住宅にはIターンで移住してきた同年代の人たちがたくさん住んでいました。
何より自分が子どもの頃に感じていたような不便さは全く感じなくて。村内で買えないものもネットで買えるし、生協の宅配も来るので、買い物にも困ることはありません。車も運転するようになって行動範囲も広がりましたから。

人口の約2割をIターン移住者が占める上野村の手厚い移住者サポートは、メディアに取り上げられることも多い。

子育て環境はいかがですか?

誠さん|まず、待機児童がないことは大きな安心ですね。それと、子育て世帯への行政のバックアップが大きいです。医療費は高校卒業まで無料。給食費は中学校まで無料。インフルエンザの予防接種も無料。スクールバスも無料で利用できます。保育所の保育料も格安だし、延長保育や学童保育も充実していてとにかく手厚い!村ぐるみで子育てを応援してくれていることを感じます。

昌子さん|子どもが熱を出したときなどは村に診療所があるし、総合病院も藤岡とか富岡と、それほど遠くないので大きな不安はないですね。

誠さん|いざというときは「上野あんしん電話」というのがあって、医療関係者が相談からアドバイスまで幅広く対応してくれます。埼玉にいるときより、むしろこちらの方が気軽に医療にアクセスしやすいなと思っているんですよ。

瑞紀ちゃんとひのちゃんは、お迎え時間まで昌子さんの実家で遊びに夢中。

念願のマイホームも建てられたのですね。

誠さん|移住3年目に土地を買って家を建てました。村の中では一等地なのですが、地価は埼玉の約1/10! 村営住宅も快適でしたが、やっぱりマイホームはいいですね。
休みの日にはガーデニングを楽しんでいます。木を植えたり、テーブルの周りにレンガを敷いたり。まだ途中ですが、少しずつ整えています。

昌子さん|ブランコはおじいちゃんの手作りなんですよ。実家の近くに建てたので、両親に子育てを助けてもらえるのはありがたいです。
今は、上野村に帰ってきてほんとうによかったと思っています。

マイホームの夢も叶い、休日には少しずつ庭を整えていくのが誠さんの楽しみ。

「村人への仲間入り」について

地域の伝統行事が大切に守られている上野村では、毎月のように行事やイベントがある。誠さんはそういう集まりに積極的に顔を出すように心がけているという。特にイベントの後の飲み会が重要だとか。

「豊かな自然」について

豊かな自然の中で子育てできるのも山間部の魅力。関東一の清流、神流川が流れる上野村は、釣りや川遊びもできる。フォレストアドベンチャーなど森遊びの施設もあり、アウトドアが好きな人には最高の環境だ。