沼田市中心部から北へ約9km、リンゴやブドウなどの果樹園が点在するのどかな田園地帯に、新潟県からUターン移住した中村さん一家。ふるさとにマイホームを建てて両親と同居。広々とした環境での子育てや、新幹線通勤するライフスタイルを教えていただいた。
夕季さんは沼田市生まれ。大志さんと結婚後、新潟で帆希ちゃん(5歳)・日那乃ちゃん(2歳)を子育てしながらマイホーム建設を計画。移住後は沼田市役所に社会人採用され就職。大志さんは燕市の会社に勤務。
夕季さん|子どもたちが庭や畑で思いっきり走り回ったり、収穫のお手伝いをしたりと、以前のアパート暮らしではできなかったことができるのがうれしいですね。新潟に比べて圧倒的に晴れの日が多いから、外遊びがいっぱいできます!
自宅の庭先にある家庭菜園で、子どもたちと一緒に野菜の収穫。
群馬にUターンし、ご実家を建て替えて同居しようと思ったわけは?
夕季さん|初めは、新潟にマイホームを建てようと土地を探したんですよ。でも、広い庭があって、駐車スペースもほしいと思ったら、なかなか希望通りの土地がなくて。いろいろ検討し、土地探しだけで1年近くかけましたが、いいなと思った住宅地もハザードマップで調べると水没危険地域だったり……。マイホーム計画は難航しました。
そんなとき主人が、自分が新幹線通勤して、沼田の実家を建て替えて私の両親と同居しようと提案してくれたんです。私は長女なので両親の老後を考えるとありがたかったのですが、本当にやっていけるかどうか、正直不安もありました。
マイホームの土地探しの際、自治体が発行しているハザードマップを参考にしたという夕季さん。
よく決断されましたね?
大志さん|テレビ番組で湯沢から東京まで新幹線通勤している人の特集を見たり、新幹線通勤しても新潟で土地と家を買うより安いかどうか、一カ月あたりの通勤費の自己負担額はいくらになるかなど繰り返し計算しました。そんなとき、沼田市が移住者向けに新幹線通勤費の補助を始めると知り、これが決定打になりました。
職場に相談したところ、社長が理解のある人で。私はシステム開発の仕事なので基本はデスクワーク。家でできる仕事もあるから、将来的にはテレワークも可能かなと。
家庭菜園で栽培した野菜やフルーツは、新鮮な上に安心。子どもたちも大好物だ。
ふるさとでの子育てはいかがですか?
夕季さん|私自身がこういう広々としたところで育ったので、子どもたちにも広い庭のある暮らしをさせたかったんです。プールをしたり、お砂遊びをしたりできるような…。今は二人とも自転車遊びが好きですね。
この辺りは農村部なので、夏にはホタルも飛ぶし、虫や花、野菜のことなど農作業中の両親に教わったりもしています。庭先の畑で採れた無農薬の新鮮野菜が毎日食べられるのもうれしいことです。
広い庭のあるマイホーム。「こんなところで子育てしたい」と夕季さんが思い描いていた夢がUターンで実現した。
夕季さんはお仕事を始めたのですね?
夕季さん|たまたまネットで見た沼田市の広報に、社会人採用の募集記事が載っていたんです。家のローンとかもあるし、だめもとでエントリーしたら合格しました。
今年の4月から娘たちを職場近くのこども園に預けてフルタイムで働いています。子どもたちは新学期からの入園申し込みにギリギリ間に合いました。姉妹でも別々の園になることもあると聞いていたので、二人とも同じ職場近くの希望の園に入れてラッキーでした。こども園に預けてから出勤するので、朝主人を見送ってすぐ、7時半くらいに家を出ます。やっと共働きのリズムがつかめたかな、というところです。
両親と同居なので、子どものお迎えの代わりを頼んだり、病気のときに面倒を見てもらったり、食事の支度や家事などを助けてもらったりできるのはありがたいですね。
大志さんの通勤はどのように?
大志さん|朝7時15分ごろ家を出て、車で上毛高原駅へ。直通の新幹線がないので越後湯沢駅で乗り継いで8時45分に燕三条駅へ。そこから歩いて9時の始業には間に合います。帰りは19時過ぎの新幹線に乗れば20時半前に帰宅。1本早いのに乗れたときには、子どもたちと一緒にお風呂に入れますよ。たまに東京などへの出張もあるのですが、新潟からより楽になりましたね。
通勤時間が増えた分、平日は家族と触れ合える時間が減ってしまいましたが、その分休日に家族と過ごす時間を大切にしています。
休日は子どもたちと触れ合う時間を大切にしているという大志さん。砂遊びも、プールも思いっきり楽しめる。
子育て中で移住を考えている人に、アドバイスなどありますか?
夕季さん|群馬県は子育て満足度ランキングも高く、子育てしやすいといわれていますが、私の場合、小児科の多さとか買い物とかを考えると、新潟の方が便利だったかもしれません。生活が180度変わったので、親も子も最初はとまどったこともありました。主人は職場を変えなくてすみましたが、子どもたちは転園せざるをえません。通っていた園と雰囲気が違うので、慣れるまでは子どもたちに負担をかけたと思います。
でも、移住して半年以上たった今では、やっぱり群馬で暮らしてよかった!と思う瞬間が増えてきました。これからも、無理をせず時間をかけて、子どもたちと一緒に自分らしい群馬暮らしを見つけていきたいと思っています。
土地探しの際、自治体が発行しているハザードマップを参考にしたという中村さん夫妻。地震や水害などに備えて、地盤の強さや近くにあふれそうな川がないことを重視した。災害の少なさも群馬の魅力だという。
年平均日照時間が毎年全国上位に位置する群馬県。日本海側に比べて晴れの日が多いので、洗濯物も外に干せる。夕季さんは、毎朝起きてすぐ2階の窓から、朝日に輝く赤城高原を眺める時間がいちばん好きだとか。