農業フェアで「六合の花」と出会い、花き生産者の道へ。生涯現役で花き栽培に取り組む。

 サラリーマンから花き生産者へと転身した川合さん。6年の月日が経ち、知識と経験を積み重ね、花き生産者の道を突き進んでいます。80アールもの畑で「六合の花」の栽培に取り組む川合さんにお話を伺いました。

川合 清富さん
(東京都中野区 → 群馬県中之条町)
2016年1月、中之条町「六合の花」就農体験研修会に参加後、1年の研修を経て新規就農。北海道出身。趣味は温泉めぐり。休みの日は、神奈川県出身の奥様と県内外の温泉へ出かけ、リフレッシュしているそう。

現在の状況を教えてください

 2023年4月で、就農7年目を迎えます。妻と二人で80アールの畑で「六合の花」と呼ばれる花きの栽培をしています。就農したての頃に比べて、知識も仕事量も出荷数も売上も増えました。夏場の露地栽培に加え、設備投資をしてビニールハウスの増設を重ね、今は7棟のハウスで花き栽培を展開しています。冬は、ハウス内で「オランダセダム」を中心に栽培。2月ぐらいから、本格的にハウスでの育成を開始し、母の日商戦に向けて出荷していく準備を進めていきます。4月から本格的な出荷が始まっていきます。露地栽培が始まる6月から10月は、収穫して、剪定・調整作業、出荷ともっとも忙しい季節です。

花き農家になろうと思ったきっかけは?

 妻が若い頃から農業に興味があって、事あるごとに農業の魅力やすばらしさを聞かされていました。当時、私は中間管理職のサラリーマン。勤めていた会社が人員削減をすることとなり、転職という道を考え始めていました。私は生まれも育ちも北海道ですが、農業にはまったく興味はありませんでした。しかし、新規就農者に向けた国の支援制度の存在を知ったことで、農業も選択肢の一つになり、2015年12月、東京・池袋で開催された「新・農業人フェア」に妻と出かけました。

 そこで出会ったのが、中之条町六合地区の「六合の花」でした。生産者の方の話を聞いているうちに、花き農業に興味がわき、2016年1月、中之条町「六合の花」就農体験研修会に参加。同年4月に中之条町に移住し、1年間の研修を経て就農しました。中之条町では、新規参入者の受け入れ体制づくりに熱心で、中之条町農業担い手受入協議会の1期生として、さまざまなサポートをしていただきました。

「六合の花」づくりの面白さは?

 六合に栽培している花は、市場では草花と呼ばれます。すっと同じものが安定的に売れるというものではなく、流行りすたりがあります。毎年、これまで栽培したことのない花にチャレンジしています。六合で生産している多種多様な花は、バラや菊などのように育成方法が確立しているものが少なく、栽培してみないとわからないことが多いです。育てながら、知識を蓄えていく。栽培がうまくいき、良いものを出荷して、良い値段がつくとうれしいですね。

農が身近にある生活をしてみて良かったことは?

 ストレスがないです。以前は、中間管理職の仕事をしていましたから、人間関係のストレスが多分にありました。今は、責任は全部自分にかかってきます。たとえ、失敗しても自分の失敗なので、あきらめがつき、うまく消化できています。

 会社に勤めていたら、65歳で定年となりますが、農業には定年がありません。この地域では、70歳、80歳を過ぎても農業をしている先輩方がいます。先輩方のように、私も健康に気をつけて、長く農業をしていきたいと思っています。

これから農業を始めたい方へのメッセージ

 興味や関心があるなら、なるべく早いうちに始めた方がいいと思います。ある程度、社会を経験してから、加えて、体力のあるうちにです。私はスタートが遅かった。体力面を考えると、もう少し早く始めていればよかったと思うこともあります。ただ、その分、社会経験を重ねていますから、事業計画の作成は、前職の経験がいかせていると思っています。

 興味があるなら、自分から動いて、まずは、現地に行ってみてほしいです。積極的に知識を集め、見聞を広げ、体験をしてみることです。行動力は大事だと思います。