六合の花に見出した無限の可能性。豊かな感性で六合の花の魅力を伝えていく。

 物心ついた時からいつも一緒だったという戸高さんと中村さん。千葉県柏市から中之条町六合地区に移住して丸3年が経ちました。六合の花に出会い、六合の花に無限の可能性を見出し、六合の花を育てる生産者となったお二人に「六合の花」の魅力を聞きました。

戸高 研介さん(写真・右)
中村 魁士さん(写真・左)
(千葉県柏市 → 群馬県吾妻郡中之条町)
千葉県柏市出身。戸高さんは大学卒業と同時に、中村さんとともに中之条町六合地区に移住。2年間の研修を経て、2022年4月、独立。六合地区の特産である「六合の花」の栽培に取り組んでいる。幼稚園時代の友人が中之条町へ移住し、農作業に加わっている。農業法人立ち上げを視野に、3人で六合の花づくりに奮闘中。

なぜ、中之条町に移住しようと思ったのですか?

戸高さん:大学のゼミの教授から、「六合の花」のことを聞いたのがきっかけです。僕は草津町の活性化や地域おこしについて研究するゼミに入っていまして、中之条町六合地区に関するプロジェクトも担当していました。ちょうど、大学4年で就活のタイミングでもありました。六合の花の栽培に興味を持ち、魁士に見学に行ってみようと声をかけました。

中村さん:当時、これから何をしようかと考えていた時でした。普通に就職する人が多いけれど、僕らは普通に就職するのは、ちょっと違うよなって、いつも話していて。そんなとき、六合の花の話が舞い込んできて、飛びつく感じで、六合地区を訪れました。

戸高さん:六合地区に来て、新規就農の制度を使って六合の花の生産農家になった人の話など、いろいろな話が聞けました。実際、花を栽培している人たちに辛そうな雰囲気はなく、楽しそうにやっていて、ここでやっていくイメージがわいてきました。

中村さん:農家というと、野菜や果樹をイメージしますが、花農家というところに、カッコよさを感じましたね。しかも、六合の花は、約200種類の花があり、いろいろな花を作ることができます。自分たちの感性で育てる花の種類も量も決められるという話を聞いて、魅力的でした。

戸高さん:ある程度、自分たちで考えてやっていくことができると知り、僕たちに合っていると思いましたし、六合の花に可能性を感じました。

六合の花づくりの研修はどうでしたか?

戸高さん:2020年4月、中之条町六合地区に移住しました。そこから2年間研修を受けて、2022年4月、独立しました。農業に関しての知識はゼロでしたが、すべてが新鮮で楽しかったです。

中村さん:最初はぼんやりという感じでしたけど、やればやるほど、そこに知識が加わっていくと、「こんなこともできるかも」「こうしてみるといいかも」と、いろんなアイデアが生まれてきて、六合の花がどんどん好きになっていきました。

戸高さん:研修1年目から、僕らの師匠(研修先の花き農家)が畑を借りてくれて、自分のたちの畑で育てたりもできました。

独立して1年が経ちましたが、手応えはありましたか?

戸高さん:研修の時とは、すべてが違いました。作業の流れは、研修の2年間で把握しましたけど、自分たちで育てるとなると、わからないことも出てきますね。

中村さん:独立してすぐの頃は、毎日、師匠のところへ聞きにいっていました。今、暮坂と日影という地域に畑があります。標高も違うし、日当たりも土も違います。やりながら、自分たちで覚えていくしかないのかなと感じています。

戸高さん:独立した時は、自分たちはもっとできるかなと思っていましたけど、今年は全然ダメでした。六合の花は、バラや菊など花屋で売っている花ではなく、これまで目にしたことのない、珍しいものばかりなので、面白いです。来シーズンが待ち遠しいです。

中村さん:ラムズイヤーという花を見つけた時は、興奮しました。これまで捨てられてしまうことが多かった花のようなのですが、僕らからしたら、おしゃれな花なのです。育てて出荷してみたら、売れました。そういう花を自分たちで見つけていくのも、面白いし楽しいです。六合の花はファッションと一緒。昭和っぽいファッションが今、流行っているのと似ているかもしれません。僕たちがおしゃれだなと感じた花を植えて育てていきたいと思っています。

今後の目標は?

戸高さん:近いうちに、農業法人を立ち上げたいと思っています。これは、六合の花を始めた時から二人で話し合っていたことです。六合の花を中心にしながら、いろんなことにチェレンジするための会社です。

中村さん:僕らが独立就農したと同時に、もう一人の幼馴染が中之条町六合地区に移住してきました。今、3人でやっています。六合の花の6次産業化を目指し、ドライフラワーやハーブティーなどの試作に取り組んでいます。

戸高さん:六合で育てた花を売る花屋さんを都内に持ちたいと思っています。

中村さん:それに向けて、トラックを使った移動販売から始めて、SNSを活用しながら認知度を上げて、店を構えるという流れになればいいなと話しています。

農業を始めたい人へのメッセージ

戸高さん:最初は勇気が必要な人がいるかもしれませんけど、やってみてしまうと、楽しいものです。知識がないからと敬遠している人がいるのであれば、農業体験に参加してみるといいと思います。

中村さん:田舎は大変と思うかもしれませんが、僕は都会より楽だと感じています。一度、土を触ってみて、面白いと思ったら、気軽にチャレンジしてみてください。