0. 農業を始める前に
新たに農業を始めるということは、農業という小さな会社を興すと考えた方がよいです。会社は、資本(資金、設備、資材)と労働力、土地そして経営力によって成り立っています。農業経営を行うためには、多方面の能力を備えることが必要です。「何が何でも農業をやるぞ」という強い意志が必要になります。そこで、農業を始めようとする前に、以下の点について、考えてみましょう。
なぜ、農業をしたいのですか
農業をしたいと考えた動機は何でしょうか。農業という職業で生活していくためには、多くの努力が必要です。自然が相手ですから思いもよらない事態も数多く発生します。栽培技術のみならず、消費の動向までをも把握する手腕が問われます。単なる思いつきや現実逃避型の就農では、家族や周囲の農家にも迷惑をかけるだけで終わってしまいます。
家族の理解が不可欠です
家族は就農に同意してくれているのでしょうか。就農するということは単に職業を変えるということではなく、そこで生活していくことです。家族の理解と合意を得る必要があります。
いろいろな準備が必要です
就農するということは、会社を起業するということです。専門的な技術と経営管理能力を身につけ、きちんとした営農計画のもとで作業を行っていくことが求められます。また、生産の3要素である土地(農地等)、労働(家族労働が中心)、資本(資金)が不可欠です。
地域の人たちとの付き合いが大切です
就農するということは、農村社会の一員となることです。農村は、生産と生活の場が一緒ですから地域の人との関係が密接です。農業に関わる共同作業や様々な行事に集落の一員として積極的に協力していく姿勢が必要です。
経営が軌道に乗るまで時間がかかります
就農して数年間は、設備資金や運転資金などの経費がかかり、安定した農業収入が得られるようになるまで時間がかかります。また、経営が軌道に乗るまでは、計画的な休日は取りにくくなります。